レッツさがすたいるトークvol1 を開催しました【後編】

2020年11月28日  NEW

【VR体験4/LGBT「レズビアンオフィス編」】
 令和2年2月開催の「レッツさがすたいるトーク」のテーマでもあった「性的マイノリティー」の総称の一つ「LGBT」。
 大阪市民を対象にした統計では、2.9%、つまり35人に一人がLGBTで、自身の性を決めていない・迷っている人を含めると8.1%、つまり12人に1人いらっしゃるそうです。
大野さんが、「周囲にLGBTの人はいますか?」と問いかけると3分の1くらいの方の手が挙がりました。
 「こんなにたくさん手を挙げていただけるのは珍しいことです。しかし、LGBTの割合が日本の人口の2.9%とお伝えしましたが、これは佐藤・鈴木という名字の方の割合と同程度いるということなんです。それを踏まえると参加いただいている方全員が手を挙げていただいても不思議ではないですよね。LGBTを取り巻く問題の本質は、自分の周りにいるはずなのに『見えていない』ということです。なので、何気ない言動で傷つけてしまい、言い出せない状況を作っていることが多いのです。」

VRでは、レズビアンの女性の視点で2つの異なるオフィスの雰囲気を体験しました。

~話やすい雰囲気を作るには?~
 「話しやすさ」を考える際には「心理的安全性」が担保されているかどうかが重要です。心理的安全性が担保されているというのは、自分の考えや感情を相手に気兼ねなく発言できる雰囲気があることを意味します。心理的安全性を作るためには、相手を思いやる表情や立ち振る舞いと相手に対してのリスペクトを忘れないことが重要です。
 大野さんは「もしこのVRのように性的マイノリティを茶化すような話題が出た時は、苦笑いして見過ごすのではなく、『私はそうは思わないけど』と勇気をもって声を出してほしい。これは性的マイノリティを取り巻く問題だけではなく、あらゆることについても同じことが言える。誰かを馬鹿にすることが笑いにならないということ。茶化されている本人の心理的安全性は、味方になってくれる人が側にいるか、いないかでだいぶ変わる」と話されました。

【VR体験5/ワーキングマザー・ファザー】
 リクルートホールディングスとシルバーウッドが共同開発した働きながら3人の子育てをする実在する女性の1日を体験しました。

「どんな気持ちになったか」聞いてみると、
【感想コメント】
 Iさん:家に帰ってからも子ども3人を相手にするのは体を壊しそう。
 Jさん:自分も子どもがいるママなので、私にとっては日常の“あるある”でした。VRは、シングルマザーなのが大変だと感じました。

 夕方の会議に出るためには延長保育を申請しないといけない。どんなに子どもが元気そうでも発熱したら早退してお迎えに行かないといけない。子どもたちを連れながら夕飯の買い物をして帰宅後調理し、食べさせ、宿題の面倒を見る。寝かしつけの際に自分も寝てしまうが何とか起きて夜中に残っている仕事を片付ける・・・という、仕事と育児の両立に奮闘するお母さんの姿がありました。
 「あるワーキングマザーが『必要最低限の会話は時に暴力的』と話されました。上司や周囲からの『大丈夫?』という問いかけは、一見優しいようだけど、もっと踏み込んで状況を共有し、職場に深い理解があれば子どもにも、もっと余裕を持って接せられるのではないでしょうか」と大野さん。
 日々の会話の回数を重ね、お互いの理解を深める大事さを実感しました。

【VR体験6/ダイバーシティ「見えるようになって鈴木は」】
 最後はある主人公が、あることをきっかけに登場人物たちの多様性が文字として見えるようになるという不思議な体験をしました。
 見えるようになった多様性とは、障害やセクシュアリティだけではなく、「家庭で孤立気味」の上司だったり、「親の介護中」や「夫が全く家事を手伝わない」という同僚だったり…、周りの人の様々な事情が見えるようになるというものでした。

 「多様性とは『目に見えるもの』(性別、人種、体格など)だけではなく、『目に見えないもの』(性格、心理的傾向、婚姻状況など)など非常に多岐にわたります。『多様性の理解』というのは、誰か生きづらさを抱えた人を支えるために必要な理解にとどまらず、『多様性』の中に自分自身も含まれているという当たり前のことに気づくことが『多様性の理解』を『自分ごと化』する一歩になる」と大野さん。

 みんな違って当たり前。
 いろいろな当事者を体験したことで、自分もダイバーシティの一員という気持ちでお互いが安心して感情を見せられれば、自分も生きやすいまちづくりにつながることを実感しました。

 大野さんが最後に教えてくれた
同じってうれしい。
違うってたのしい。
(ニコニコ超会議2019年公式キャッチコピー)
という言葉を噛み締め、それぞれの思いを書き綴りました。

【参加者から感想を共有】
・会場の参加者
「多様性」に興味があり、受け入れられる自分でいたいと思って参加しました。認知症の体験では「良かれ」と思ってしていることが当事者には全くそぐわない対応になっていたかもしれないし、性的マイノリティの人にも出会ったことがないと思っているけど、本当はいっぱい出会っていたのかもしれないです。こういう機会が増えて、たくさんの人に参加してもらいたいし、広まっていったら良いと思いました。

・オンラインでの参加者
 ダイバーシティ&インクルージョンを目指す活動をしています。もっとLGBTや視覚障害など、当事者の人たちの困難さを直接知ることを通じて、お互い理解していけたらと思います。貴重な機会になりました。

【参加者の方へインタビュー】
・唐津市から参加
 認知症の父の介護をしているので、どんな感覚か分かりたいと思って参加しました。性別適合手術を受けた友人もいるので、そういった方の気持ちを知って接するのに良い経験になるかなと。自分らしくありたいけど、他者がありきなので、私が話をしてもらえる器の人でなければ、人のことを分かってあげられないと思いました。

・唐津市内から友人同士で参加
 VRは初めてで自分も障害があるけど違う方の世界を体験できて勉強になりました。
 VRを楽しみに来ました。当事者の気持ちになって怖かったし、こうしてほしいというのが身に染みて分かりました。多様性の理解と言われているけど、自分を含めみなさんが身につけていけたら良いなと思いました。「同じってうれしい。違うってたのしい。」という言葉が凄く残りました。

・福岡県から参加
 友人からの紹介で参加しました。今回のVRは聴覚に障害がある人に向けに字幕が付いていたので、動画と字幕で内容を理解できました。
 私の生活と視覚障害や発達障害などの障害をもつ人の生活が異なることは分かっていましたが、体験を通して改めて知ることができました。今後、他の障害をもつ人や色々な人に対してどう対応しくかを考える良い機会となったので、体験をして本当に良かったです。みなさんも体験して、理解して貰えたら嬉しいなと思います。

・株式会社シルバーウッドの大野彩子さん
 コンテンツは必ず当事者と一緒に作り、周りとどんなコミュニケーションのすれ違いが起きたのか具体的にお聞きしてその方の視点でVRを再現するようにしています。
 VRは文字で『学ぶ』のではなく『体験』できるのが良いところです。知識で知っていても、その人の症状や状況、立場などを実際に体験してみると、知識だけでは想像がつかなかった、その人の「感情」部分に思いを寄せることができるツールになっていると思います。みなさんが体験を通じて「自分がどう感じたか」を大事にし、他人ごとで考えていたことを自分ごとにするという力が私たちのコンテンツにはあると思います。
 佐賀では2度目の開催で、今日は6本のVRで広く多様性を体験していただきました。感じて欲しかった制作者側の意図を都度汲み取っていただけていたので、本日参加のみなさんは普段から多様性の理解について考えておられるんだな、意識が高いなと感じました。

【まとめ】一人一人が自分の多様性を持っている
今回のイベントを通して、平凡だと思っていた自分にもたくさんの多様性があることを知りました。
「お互い様」の気持ちで相手を受け入れることが、自分を受け入れてもらうことにもなるのだと。
VRだからこそ感覚として感じることができ、自分から勇気を出して声をかけ、その第一歩を踏み出してみようと思います。
 気づかないうちに作っていた無意識の壁を取り壊し、自分の周りの多様性をもっと感じていきたいと思いました。